なぜ、ヘルメットか?

東日本大震災や台風、大規模火災に伴う被災者支援を効果的に行う必要性を検討した。その結果、避難を行うときに最も頼りになる物の1つであるヘルメットにICTを活用した機能を装着することにした。  最もそれに必要と思われるのは、被災者の存在を知らせる無線発信機を装備し、被災者の位置確認を行って、被災者が無事に避難所に逃れることができたか、逃げ遅れていないか、危険地域にとどまっていないかなどを知ることがが容易になり、被害を受けて流されていたり、動けなくなっていたりする恐れがある状態を容易に把握することが可能となるヘルメットの研究・開発を行うことにした。  これによって、停電などで通信機能が麻痺した状況で、被災した人がどこにいるかを把握できるとともに被災者が避難している場所で、防災コミュニティFM放送などを受信することができるようにする。  これまで、被災した個人との情報交換を行うには、高価な設備と利用するための資格が必要なアマチュア無線が有効であると考えられていたが、この度の電波法改正によって、920MHz帯を利用することで、アドホック通信などの新しい通信方式によって実用化できる見通しがでてきた。  このような近距離無線通信としては、ZigBee、Bluetooth、無線LAN、電子タグ (パッシブタグ)などがあるが、これらの技術の特徴を比較検討し、緊急時に最も適切に活用できる技術を採用することにしている。  現在のところ、ZigBeeの通信技術は乾電池を使って数カ月から数年にわたって駆動できる省電力性と、ヘルメットを装備したもの同士が自動的にメッシュネットワークを構築し、途中のヘルメットがなくなった場合でも通信が継続して行えるマルチホップアップネットワークが有効であろうと考えている。このZigBeeによる通信は、利用者個人の免許を要しないので、このような目的には有効であると考えている。

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